2008年10月12日

おいしいお米を作る名人の技・栽培編

健康な稲を育てる疎植栽培編
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市場の米価は安くなるばかり…。

そんな中、少しでも多くの収入を得ようと思えば、1枚の田んぼからできるだけたくさんのお米を収穫したいと思うのが、当たり前の生産者の心情です。

戦後、農業が機械化されてから、日本全国例外なく多収の技術が追求され、農協も生産者に1俵でも多く収穫できるための技術指導をしてきました。

そんな中で当たり前になっているのが、密植栽培です。
少しでも多くのお米を収穫するために、1枚の田んぼにできるだけ多くの苗を植え付けるというもの…。

ところが、あまり密植にしてしまうと太陽の光も当らなくなりますし、また空気が通りにくいことで、稲が病気や害虫の被害を受けやすい環境ができてしまいます。
近代農業では、こうした病気や害虫を農薬で防ぎ、多収穫を実現するという効率の農業を目指してきました。

しかし味や安全性にこだわる生産者の考え方は、これと全く逆です。

「農薬を使わないためには、風通しを良くする必要がある。」
「太陽の光を十分に当て稲を健康にすれば、
  虫や病気を寄せ付けないし味も良くなる」
こうした考え方で、収量を追わず、味と安全性にとことんこだわるわけです。

ちなみに、1uあたりの植え付け株数も多い人で、70株前後から、少ない人では35株前後と倍ほどの違い があります。

田植えの時の苗も、通常は6〜7本で植えるのですが、味や安全性にこだわる生産者は少し大きく育てた苗(通常の苗を稚苗というのに対し、中苗、成苗などと言います)を2本くらいで植えつけたりします。


こうして田んぼを見ると、生産者の考え方が良くわかります。
生産者の考え方が違えば、味や安全性、品質も大きく違うのです…。
2008年10月12日

おいしいお米を作る名人の技・乾燥調整編

秋に稲穂が実り、いよいよ刈り取り…。
名人は、稲穂の枯れ具合を見て刈り取り適期を判断します。

秋の刈り始めには、実ったお米の水分含量は25%前後。
そしてほとんどの田んぼを刈り終える頃の終盤戦になると水分含量は、21%〜22%くらいに落ちてきます。

こうして水分にバラツキのあるお米を、均一の水分値に乾燥調整します。

乾燥機がない時代には、田んぼに杭を立て、吊るしてお日様に当てる天日乾燥(はさ掛け)をしました。
これは太陽の恵みでじっくりと自然乾燥されるので、とても滋味深い美味しいお米となります。

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ところがはさ掛けは、日の当るところ、当らないところができてしまうため、しっかり架け替えをしないと乾燥ムラができてしまったり、雨が続くなど天候不順があったりすると胴割れしたり、加えてすずめの被害などで収量減になるなど、いまひとつ味や品質を安定的に確保するのは困難でした。

そして現在では高性能の乾燥機ができたため、品質を落とさず、均一の水分値に乾燥させることが可能です。

ところがこの文明の利器も、味や品質を落とす原因となることが往々にしてあります。

乾燥機は、機械にもよりますが、40℃で1時間当たり0.8%ほど乾燥できます。
最終は15%前後に乾燥させますので、25%程度のものを乾燥させるには約12時間半くらいかかる計算になります。

そんなに時間がかかるのに、稲刈りは待ったなしに進んで行きますので、乾燥機が1台しかなければ、乾燥は少しでも早く終わらせて、次の刈り取り分をやらなければなりません。

ところが、そうして急激に乾燥させると

 「食味が落ちる」「風味が落ちる」「胴割れが増える」「傷みやすくなる」

などのデメリットがあるのです。

しかしながら、そうして40℃を超える高温で急激に乾燥させる生産者は意外に多いのです。

なぜなら「味」を良くするためだけに、乾燥機に多額の投資をする人が少ないからです。
味や品質を落とさない乾燥をするためには、高価な乾燥機を複数台導入し、キャパシティオーバーにならないようにしなければなりません。

ちなみに、下の写真は私共ネットワークの生産者さんの作業場ですが、

5台の乾燥機が高くそびえ立っています。
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個人の農家で、これだけの乾燥機を導入しているところはめったにありません。

この生産者さんは、私共とお付き合いをはじめた10年前から、こうした調整施設に思い切った設備投資をし、30℃〜35℃といった常温に近い温度で、

通常の倍の時間(20時間〜24時間)をかけてじっくりとお米を乾燥させます。

ここで大きな味や風味の差が出るわけです!

天候不順もなく、条件良くできた天日乾燥のお米は滋味深く美味しいお米になりますが、できる限りそれに近い自然な温度でじっくりと乾燥させたお米は、やはりそれに近い風味豊かなお米になるわけです。